ミラボと実家

義両親の住宅と私たちの事務所です。

一人娘が生まれる前
義父の退職を機に
義両親が私たちの住む京都に越してくることになりました。

つくるならどこにつくるのかに1年
土地を探し当てるまで、2年の月日が流れ
紆余曲折の末、ようやく見つかったのは
大通りから一歩入った住宅地の
南側が道路に面した南入りの敷地。

素直に考えると、入ったすぐに庭をとって
奥に住宅をつくることになるのですが
そうすると奥にこもった住まいになることが
くらしのコミュニティを一新する義両親には
ハードル高く感じられました。

そこで、さまざまな可能性を検討した後、たどり着いた結論は
「私たちの仕事場をくっつけて、仕事場が橋渡しをすること

道路に近いところに庭と駐車場を
駐車場の上に「はなれ」として子世帯の仕事場を置くことで
義両親宅である「おもや」のプライバシーを調整することにしました。

周辺の集合住宅と公園、日差しとの関係から決めた「はなれ」と庭
おもやと作業スペースとで、直交方向から庭の眺めをシェアします
仕事場からおもやをのぞくとこんな感じ 作業スペースは和紙(泉貨紙)を貼りました

近いということは
それだけでコミュニケーションを生むきっかけになります。

それも無理矢理ではなく
のぞめば必要なときに声をかけあえるような関係だったら。

ニ世帯住宅だと気づかれしてしまう親子の関係も
親世帯の生活スペースと子世帯の仕事場を前後に配置するなら
プライバシーや生活時間の違いを
うまく補い合えるように感じられました。

おもやから打ち合わせスペースだけが見える、L型の「はなれ」
北側には坪庭のあるダイニングとセミアイランドキッチン
ダイニングにまで光を届ける吹き抜け

この生活を始めて15年の歳月が経ち
娘も生まれました。

喜びは倍に、大変な時には手を差し伸べ合って。

娘の成長につれ、
義両親がそこにいてくれるありがたさを実感しています。

腰壁の高さでゆるやかに間仕切った二階
ちょっと顔をあげればキッチンとダイニングが見える書斎

>設計が始まる前から工事までのおはなしはこちら

ミラボと実家

所在地:京都市
用途:住宅+アトリエ/新築
規模:鉄骨造二階建
延床面積:123.94㎡(37.6坪)
設計:吉田裕枝・小谷友樹/ミラボ
構造:アラン・バーデン/Structured Environment
施工:株式会社あめりか屋
竣工:2007.3.
写真:入交佐妃(バナー左側のみミラボ)