ミラボ HOME
3 - - lab? architect? architecture! ...and design etc. blog メール

UCHU wagashi

UCHU wagashi

十色 2012年
干菓子店(インテリア改装)
京都市
→UCHU wagashi website

施工:みずほ工務店
什器製作:坂田卓也製作所
植栽:田中美穂植物店コーヒショップ
構造・規模:木造地上2階建2棟(店+工房)
建築面積:26.79m2x2
延床面積:65.49m2x2
>写真のつづきをみる
>プロセスをみる

グラフィックデザイナーであるオーナーが立ち上げた干菓子のお店が
お隣を工房として独立させることで
新たに町家2戸分を使ってリニューアルすることになった。

もともとは西陣の路地奥に週末だけオープンするお店で
ここをわざわざ探してやって来るお客さんのために
現代的な味わいとパッケージをほどこしたお菓子が
かわいらしく並べられていた。

お店のリニューアルにあたって一番大切だと思ったのは
ものにまつわる文脈を建築で補うということだった。

お菓子に出会う前に
そこにあったらいい文脈が自然にお客さんの心に働きかけるような仕掛け。

営業日が毎日になり
これまでよりずっとアクセスしやすくなることで
今までお客さんの心の中で温めてられてきた物語が
こわれてしまってはいけないと思った。

現実的には 端整な家具をつくる坂田さんと
独特な感覚で緑との接点をつくる田中美穂さんがいて、という状況の中で
建築は与えられた条件をとつとつと解きつつ
2人の世界を引き受けてお菓子の場に収斂させるよう
その道筋をつくることに徹するべきだと思った。

そこで北側ゆえに暗くなりがちだった庭を
一続きに大きく明るくしたい という要望から
町家にしては奥が浅い条件を生かして
路地を横切る人の目に真っ先に飛び込んでくる
一番奥の塀に工夫をすることにした。

工事用の仮囲いの鋼板が
意外な方向の意外な風景を複雑に反射することにヒントを得て
このモダンな落雁の世界のエッセンスが空間として立ち上がるように
白い鋼板の脇に黄色とブルーの2色を置いた。

また町家特有の土間とのレベル差は
お店のオペレーションを考えて ゆるやかなスロープとした。

干菓子のしっかり成形されたお菓子の世界から抜け出たような植物に
微妙な色のグラデーションを落とす鋼板。
普通は奥に入るまで出会うことのできない庭と
不思議な出会い方のままに モルタルのスロープを進むと
お菓子のファンタジーに入り込む。

町家の奥と手前の関係を動かすことで
古い小さな路地にも新しい文脈が加わって
ささやかな変化が生まれたと思う。