ミラボ HOME
3 - - lab? architect? architecture! ...and design etc. blog メール

iuna

iuna  

iuna 2009年
ヘアサロン(インテリア)
京都市中京区四条大宮上ル
→iuna website

施工:いわむら工務店
椅子製作:坂田卓也製作所村上椅子

構造・規模:鉄骨造地上1階部分(ロフト有)
建築面積:18.84m2
延床面積:22.63m2
>english
>写真のつづきをみる
>プロセスをみる

京都に越してきてからずっと髪を切ってくれているトーライさんは
美容師さんなんだけど、もしかするともっと写真が好きで
旅が好きで、子どもが好きかもしれない
そんな不思議な魅力を持つ人だ。

そしてその美容院も
美容院というより住宅の雰囲気で
単に髪を切ってくれるということだけじゃなく
心のさっぱり感にもおおいに関係するような
そんなお店だった。

そしてトーライさんがもう一つお店をもつことになった。
その新しい門出を応援できるような、そういう建築にしたいと思った。
それは
新しいということが一番の価値みたいな
その日限りの打ち上げ花火ではないと思った。

たとえば「友達」みたいに
自己紹介ではうまく伝えられない自分自身の魅力が
「友達」を通じてだからこそ
うまく引き出され、時間をかけて伝わっていくような
そんな建築でありたいと思った。

そして設計をはじめると
トーライさんから断片的だけど具体的なアイテムがあげられた。

ほんの少しだけゆがんで見えるガラス
ギィギィ と鳴るフローリング
それとは対照的な質感をもつ鉄
ふっくらとした椅子
印象的な色

具体的なアイテムには臨場感がある。
ユーミンが歌詞に具体的なアイテムを散りばめて
ふとした瞬間に思い起こすあの空気感をつくるように
建築をつくっていけたら、と思った。
「やさしさに包まれる」という抽象的な一場面も
「雨あがりの庭」で「くちなしの香り」の「やさしさに包まれる」なら
ぐっと自分に近くて、だけど近すぎないからときどきそっと思い返したくなる
そういう心地よい距離感をもった情景になる。

実際、音楽をつくるようにリズムやスケール感に心をくだいて
断片的なアイテムをひとつの建築にしてみると
ファンタジーには違いないけれど
たしかにリアリティが宿っている
そんな場ができると思った。

誰か個人的な手触りのある場がそこにある。
そのことで
髪を切ってもらうというパーソナルなできごとを
おまかせしたいかそうでないかが
自然に感じられるのではないかと思った。

そしてできあがった空間は
絵本のようでもあり
いつかどこかで旅した外国みたいで
そして何よりトーライさんの気配のするものになった。